理学療法と身体操作の気づきと雑感

理学療法と身体操作について気づいたことや、ふと思ったこと、なんか言いたくなったことなどを書き留めてゆきます。個人的見解が多いので、ご了承ください。

安静臥床入院で生じやすい問題

うちの職場の患者は、近くの高度急性期病院からのリハビリ目的の転院が大半です。

 

つまり、安静臥床後の患者が多いわけで、その人たちに共通しやすい問題も見えてきています。

 

ずばっと言います。

 

腰がうしろに偏位すること(腰椎の後方偏位、仙骨後傾)

腰の可動性が低下すること(腰椎、腰仙関節、仙腸関節)です。

さらに、 もう少し経過すると、大腿筋膜の内旋偏位と伸張性低下も生じます。

 

これは、立位アライメントにおける腰椎前弯、仙骨前傾不足を招き、重心が後方に偏位します。

まっすぐ立位になれないことと、腰の可動性が低下していること、下肢筋に力が入りにくいことで、起立動作能力も低下します。

また、下肢・体幹の動的アライメントが不良になりますので、歩行立脚中期以降における股関節の伸展可動域も不足し、遊脚期に移行しにくくなります。

f:id:masuiPT:20170609184849p:plain

うちの職場に入院してきた人は、入院日にそれを治療するだけで、治療前が例えば起立・移乗介助、歩行器歩行介助レベルだったら、治療後は起立自立、歩行器歩行自立または手つなぎ歩行レベルまでいっぺんに改善することも多いです。

あとは、バランスの多種多様性と運動耐久性だけつけてあげれば、1~2週程度で退院、ということが多いです。

 

 スライドに僕の言いたいことの根拠とかのヒントがありますね。

そう、宣伝です。

研修会ではこんな話もいたします。

8月6日研修会「運動制御システムから考える動作障害の運動療法の基礎と、効率的な姿勢・動き方の探究」(大阪)

研修会A - 理学療法士基礎教育研修会

 

7月9日研修会「同上」(広島)

170709第2回桝井貴史先生勉強会 of 知鑽治笑Project

 

テキストでは私の治療観を述べています。

www.dlmarket.jp

「楽な」姿勢は動作に移行しやすい

さて、「楽な姿勢」ってなんでしょうね(^_^;)

 

最近思うのは、耐久性とか、負担の偏りがない、動作に移行しやすい、とかを思います。

 

その結果、僕は「関節をロックしない」姿勢だとたどり着きました。

f:id:masuiPT:20170607195039p:plain

一番左は、いわゆる「背筋を伸ばした姿勢」ですが、これ「lumber lordsis」ですよね。

 

そう、ずっとやってると腰が疲れます。

腰が疲れやすく、痛くなったりもします。

動作に移行する(動き始める)には、いったん体を横に倒すか、腰と膝を緩めるかしないといけません。

腰と膝をロックしてるから、効率悪いんです。

 

真ん中の写真が、僕が最近考えてる「楽な姿勢」です。

腰も頚肩部も膝もロックしません。(頸のアライメントはまだイマイチですが(^_^;))

このとき重心線は体の真ん中を通ってます。

動作に移行する(動き始める)には、みぞおち、丹田、股関節、足部のどこからでも支点にできますし、重心の上げ下げも呼吸・横隔膜の動きで自在です。

いろんな動きを、いろんな方向に作れるのに、この場でずっしりとした安定性を作ることも可能です。

 

一番右の宮本武蔵さんも、ゆるい姿勢ですよね。

 

ちなみに、この写真はブログ用ではなく、勉強会用に作ったやつです。

そう、宣伝です。

こんなことも織り交ぜて話しますので、よろしければご参加ください。

8月6日 大阪

研修会A - 理学療法士基礎教育研修会

 

7月9日は広島でもやります。

170709第2回桝井貴史先生勉強会 of 知鑽治笑Project

 

この内容は入ってませんが、私の理学療法治療観については、コチラもご参考に。

www.dlmarket.jp

 

筋がズレると力が出にくい

元々、両側ドゥシャンヌ・トレンデレンブルグ歩行で屋内独歩自立の症例。

 

入院後、筋力が低下しさらに支持性が低下(トレンデレンブルグの要素が増悪)して、自立歩行できなくなり、平行棒歩行見守り~軽介助レベルになったとのこと。

 

症例検討会で部下が提示したその症例を詳細に調べると、中殿筋の位置が外旋編位(後ろの方に垂れた感じ)していたので、それを正しい位置に修正した状態で筋収縮を学習させるという仮治療を行った。

 

するとそれだけでトレンデレンブルグ徴候が軽減し、平行棒歩行自立レベルになった。

 

筋には正しい位置がある。

 

学校で習った起始・停止を結ぶ最短線上だ。

 

その「約束」は、安静時(解剖学的肢位)だけでなく、関節運動時にも及ぶ。

つまり、関節運動時にも筋は正常なら起始・停止を結ぶ最短線上に在る。

 

筋・筋膜の可動性が低下したり、筋膜の伸張性が低下したり、癒着したり、筋緊張の異常があると、この「約束」を果たせなくなる。

 

関節運動においては可動域制限をもたらし、筋出力は低下する。

 

筋の位置(筋アライメント)を修正するには、筋を一塊として把持する技術が必要である。

f:id:masuiPT:20170607194141j:plain

写真は大腿直筋を把持している様子。

 

今日の症例検討会では、そんなことを解説しました。

拙著にもそういうことが書いています。

www.dlmarket.jp

歩行時の上肢運動

歩くときは上肢も動く。

 

頚髄のCPG?

下肢運動からの運動連鎖?

 

少なくとも歩行に上肢運動は必要だと思う。

 

ウォーキングマシンで手すりを持って歩いてみてください。

徐々にスピードを上げて「普段の自分の歩行速度」だと思うところになったところで、手すりから手を放してみてください。

f:id:masuiPT:20170604223846j:plain

おそらく、違和感を感じるでしょう。

そのときの速度は「普段の自分の歩行速度」ではないはずです。

 

上肢運動なしの歩行は「普段自分が行っている歩行」ではないのです。

 

面白い実験ですので、ぜひやってみてください。

 

www.dlmarket.jp

そろえ型歩行は有用

殿筋が弱くて、トレンデレンブルグ徴候とかが出る症例。

 

治療とか筋トレだけじゃなく、歩行様式を調整することで歩くこと自体がちょうどいい負荷になるようにしてあげられる。

 

歩行様式とは、2動作前型とか、3動作そろえ型とかのやつ。

 

とくに、そろえ型歩行は一時的に負荷を調整する手段としては有用だと改めて思った。

 

f:id:masuiPT:20170602190656p:plain

ちなみに、ピックアップウォーカーは自然にそろえ型歩行になるから割と好き。

 

歩行分析からの評価治療の詳細は、拙著も見てちょ。

www.dlmarket.jp

 

やっぱり性根は臨床家。

やっぱり文章を書くのは好き。

 

かつては、かなり力を入れたブログとかをやっていたけど、

正直、疲れちゃいました。。。

前作はコチラ→ 理学療法士のためのクリニカルリーズニング入門

 

んでもって、調子に乗ってそれをまとめた電子書籍とかも出した。

今でもちょくちょく売れてるんだけど。

書籍はコチラ→ 治療技術としての理学療法入門 -治療対象の基礎と臨床- / DLmarket

 

今は、連盟の仕事も含めて医療・介護情報を発信するのが日課。。。

 

だけど、性根はやっぱり臨床家です。

 

知識、技術が更新されれば、考え方も変わってくる。

 

だけど、もうあんまり力作はやれそうにない。

 

そんなわけで、日々の気づきをメモ的な感覚で発信することにしました。

 

よかったら、時々のぞいてください。