「立位」変えました
この度、わたくし、「立位」を変えました。
具体的には「立位アライメント」、「姿勢」です。
修正①において、一旦教科書的な姿勢を経由し、現在修正②に至っております。
修正①では、下腹部の筋緊張と、胸郭の抗重力伸長、正しい肩甲帯のアライメント、ほぼ正しい頭部アライメントが得られました。
その後、今(修正②)比べると、以下の点が違います。
・骨盤が少し後傾(腹部の筋緊張を保持したまま)
・股関節がすこし屈曲し、膝もさらに緩んだ。
・上体が少し前傾した。
・肩甲帯アライメントはやや緩んだ。
この「姿勢」で結果的に変化したことは以下のような点です。
・歩き方、しゃがみ方、など(当たり前ですね)
・動き出しやすい。
(歩きはじめ、歩行→走行、歩行→急停止、歩行→方向・動きの転換、腕の振り上げ)
・腰、頚、頚肩部のハリが生じず、腕も軽い。
この「立位アライメント」にたどり着く過程で気づいた点は以下のようなものがあります。
・骨(脊椎や下肢骨)に体重を乗せることにこだわると、絶対にこの姿勢にたどり着けない。
・骨に体重を乗せることが、腰痛や頚肩部のハリ、膝痛を生むのではないか。
・ベースとして重要な要素は『下部体幹の安定性(筋緊張)』と『胸郭の抗重力伸長(可動域)』、『荷重位での股関節の分節的制御に基づく身体操作とその多種多様性』は重要。
・胸郭アライメントが正しくないと肩甲帯アライメントも正しくできない。
・胸郭、肩甲帯アライメントが正しくなると、肩幅と胸囲がでかくなる(僕は、上衣のサイズが1つ変わりました)。
・正しい胸郭の可動域とアライメントが分からないと、患者への治療も不十分である。(自分はわかってからかなり変わった。)
・この姿勢筋緊張(を維持した坐位)では、腹いっぱいご飯を食べれない。
・姿勢や筋緊張をゆるめて腹いっぱいご飯を食べたら、この「立位アライメント」や「姿勢緊張」を再現しにくい。
・『荷重位での股関節の分節的制御』≒股関節の荷重感覚≠股関節戦略のバランス制御
・ 『荷重位での股関節の分節的制御に基づく身体操作法とその多種多様性』を身につける上で、武術や舞踊、太極拳などは有用。
・宮本武蔵(絵)の姿勢に当初感じる違和感は、身体操作を探究していくうちに「そこに真理があること」が分かってくる。(少しは近づけたかしら(^_^))
僕が「立位アライメント」を見直すきっかけになったのは、このブログにおいてつい最近、その時点における僕の「立位アライメント」についての考えを述べ、それに対しfacebookでいくつかのご意見をいただいたことに他ありません。
そのやり取りでは、直接の面識のない僕に、何度も丁寧にご指導くださいました。
心より感謝申し上げます。
今回のこの過程で、立位と動き方を変えるために考案した体操プログラムがあり、それを研修会では紹介、実技します。
そう、宣伝します。
8月6日研修会「運動制御システムから考える動作障害の運動療法の基礎と、効率的な姿勢・動き方の探究」(大阪)
7月9日研修会「同上」(広島)
170709第2回桝井貴史先生勉強会 of 知鑽治笑Project
テキスト「治療技術としての理学療法入門-治療対象の基礎と臨床ー」
パス
今日は僕がロゴに使っているマークについてお話します。
これは、僕にとって「リハビリテーション」を表したものです。
ちょっと体調がしんどかったときに、そのときその状態でないと見ることができなかった風景に感動したことがあって、そのときから「その境遇でないと出会えない感動やよろこびがある」、それに気づくことがリハビリテーションにおける「価値観の転移」につながるのではないかと考えるようになりました。
このマークは、その風景と、そのときの感動とそこから生まれた感謝を抽象的に表現したものです。
理学療法士は今、作業療法士とともにリハビリテーションのけん引役として期待されています。
僕自身は、理学療法士の中ではどちらかと言うと治療に偏重している方なので、患者さんやリハビリテーションを目指す地域住民にどんなことが必要なのかを考えることも、その行動自体も少し苦手かもしれません。
ですが、リハビリテーションとは形だけの社会復帰や在宅復帰を言うのではなく、内面的に価値観を転移できることこそが真の目標であり、そのためには「その境遇でないと出会えない感動やよろこび」が重要なエッセンスになり得る、ということをこの場で発言することで、誰かにとってヒントになったり、そういったことに興味を持ってもらえるきっかけになったらと思い、今日のブログにしてみました。
自分ができなくても、実現でき得る誰かにそれを気づかせるパス。
そんな役割もいいかなと思えるようになった、37歳の誕生月でした。
僕の治療観と研修会は以下の通りです。
平成29年7月9日研修会 「運動制御システムから考える動作障害の運動療法の基礎と、効率的な姿勢・動き方の探究」(広島)
170709第2回桝井貴史先生勉強会 of 知鑽治笑Project
平成29年8月6日研修会「同上」(大阪)
テキスト「治療技術としての理学療法入門-治療対象の基礎と臨床-」
安静臥床入院で生じやすい問題
うちの職場の患者は、近くの高度急性期病院からのリハビリ目的の転院が大半です。
つまり、安静臥床後の患者が多いわけで、その人たちに共通しやすい問題も見えてきています。
ずばっと言います。
腰がうしろに偏位すること(腰椎の後方偏位、仙骨後傾)
腰の可動性が低下すること(腰椎、腰仙関節、仙腸関節)です。
さらに、 もう少し経過すると、大腿筋膜の内旋偏位と伸張性低下も生じます。
これは、立位アライメントにおける腰椎前弯、仙骨前傾不足を招き、重心が後方に偏位します。
まっすぐ立位になれないことと、腰の可動性が低下していること、下肢筋に力が入りにくいことで、起立動作能力も低下します。
また、下肢・体幹の動的アライメントが不良になりますので、歩行立脚中期以降における股関節の伸展可動域も不足し、遊脚期に移行しにくくなります。
うちの職場に入院してきた人は、入院日にそれを治療するだけで、治療前が例えば起立・移乗介助、歩行器歩行介助レベルだったら、治療後は起立自立、歩行器歩行自立または手つなぎ歩行レベルまでいっぺんに改善することも多いです。
あとは、バランスの多種多様性と運動耐久性だけつけてあげれば、1~2週程度で退院、ということが多いです。
スライドに僕の言いたいことの根拠とかのヒントがありますね。
そう、宣伝です。
研修会ではこんな話もいたします。
8月6日研修会「運動制御システムから考える動作障害の運動療法の基礎と、効率的な姿勢・動き方の探究」(大阪)
7月9日研修会「同上」(広島)
170709第2回桝井貴史先生勉強会 of 知鑽治笑Project
テキストでは私の治療観を述べています。
「楽な」姿勢は動作に移行しやすい
さて、「楽な姿勢」ってなんでしょうね(^_^;)
最近思うのは、耐久性とか、負担の偏りがない、動作に移行しやすい、とかを思います。
その結果、僕は「関節をロックしない」姿勢だとたどり着きました。
一番左は、いわゆる「背筋を伸ばした姿勢」ですが、これ「lumber lordsis」ですよね。
そう、ずっとやってると腰が疲れます。
腰が疲れやすく、痛くなったりもします。
動作に移行する(動き始める)には、いったん体を横に倒すか、腰と膝を緩めるかしないといけません。
腰と膝をロックしてるから、効率悪いんです。
真ん中の写真が、僕が最近考えてる「楽な姿勢」です。
腰も頚肩部も膝もロックしません。(頸のアライメントはまだイマイチですが(^_^;))
このとき重心線は体の真ん中を通ってます。
動作に移行する(動き始める)には、みぞおち、丹田、股関節、足部のどこからでも支点にできますし、重心の上げ下げも呼吸・横隔膜の動きで自在です。
いろんな動きを、いろんな方向に作れるのに、この場でずっしりとした安定性を作ることも可能です。
一番右の宮本武蔵さんも、ゆるい姿勢ですよね。
ちなみに、この写真はブログ用ではなく、勉強会用に作ったやつです。
そう、宣伝です。
こんなことも織り交ぜて話しますので、よろしければご参加ください。
8月6日 大阪
7月9日は広島でもやります。
170709第2回桝井貴史先生勉強会 of 知鑽治笑Project
この内容は入ってませんが、私の理学療法治療観については、コチラもご参考に。
筋がズレると力が出にくい
元々、両側ドゥシャンヌ・トレンデレンブルグ歩行で屋内独歩自立の症例。
入院後、筋力が低下しさらに支持性が低下(トレンデレンブルグの要素が増悪)して、自立歩行できなくなり、平行棒歩行見守り~軽介助レベルになったとのこと。
症例検討会で部下が提示したその症例を詳細に調べると、中殿筋の位置が外旋編位(後ろの方に垂れた感じ)していたので、それを正しい位置に修正した状態で筋収縮を学習させるという仮治療を行った。
するとそれだけでトレンデレンブルグ徴候が軽減し、平行棒歩行自立レベルになった。
筋には正しい位置がある。
学校で習った起始・停止を結ぶ最短線上だ。
その「約束」は、安静時(解剖学的肢位)だけでなく、関節運動時にも及ぶ。
つまり、関節運動時にも筋は正常なら起始・停止を結ぶ最短線上に在る。
筋・筋膜の可動性が低下したり、筋膜の伸張性が低下したり、癒着したり、筋緊張の異常があると、この「約束」を果たせなくなる。
関節運動においては可動域制限をもたらし、筋出力は低下する。
筋の位置(筋アライメント)を修正するには、筋を一塊として把持する技術が必要である。
写真は大腿直筋を把持している様子。
今日の症例検討会では、そんなことを解説しました。
拙著にもそういうことが書いています。
歩行時の上肢運動
歩くときは上肢も動く。
頚髄のCPG?
下肢運動からの運動連鎖?
少なくとも歩行に上肢運動は必要だと思う。
ウォーキングマシンで手すりを持って歩いてみてください。
徐々にスピードを上げて「普段の自分の歩行速度」だと思うところになったところで、手すりから手を放してみてください。
おそらく、違和感を感じるでしょう。
そのときの速度は「普段の自分の歩行速度」ではないはずです。
上肢運動なしの歩行は「普段自分が行っている歩行」ではないのです。
面白い実験ですので、ぜひやってみてください。