理学療法と身体操作の気づきと雑感

理学療法と身体操作について気づいたことや、ふと思ったこと、なんか言いたくなったことなどを書き留めてゆきます。個人的見解が多いので、ご了承ください。

ポストリハビリテーションで、コンディショニング以外に大事なこと

リハビリテーションの投稿会で、
リハビリテーション(社会参加、自立)のための便利グッズ、役立ちツール」として、

押し車をこう紹介しました。

例えば、杖なら500mくらいの耐久性で、雨なら外出しにくいくらいの安定性なら、
押し車にすれば、疲れたら途中で座れるので、2kmくらい行けます。
ハンドルに「さすべえ」っていう自転車用の傘スタンドをつければ、雨でも出れます。
つまり、外出距離、頻度が向上するのです。

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さらに、装具について。

こないだ、掃除のおばちゃんが、前足部の足底に創傷ができたとかで、
主治医から、前足部への荷重を避けるように言われたとかで、
踵だけつけて歩いて、仕事してたんです。
家の中で自分のことだけするならまだしも、
踵歩行で仕事は、足首を背屈させ続けるのが、マジで辛そうでした。
疲れやすいし、動き遅いし、仕事も遅れて、その分の時間が余計辛い、という悪循環。
見てらんなくて、ちゃちゃっと前足部を免荷できる踵補高装具を即席で作ってあげたら、普通に歩けるようになって、仕事のスピードも格段に上がって、喜んでくれました。

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これらは、リハビリテーション(社会参加)の支援です。

そう。

社会参加のための、対象者の運動機能を踏まえた助言、動作方法の指導、補助具・福祉用具の紹介は、理学療法士の役割です。


そして、この気付きが、以前から頭をモヤモヤさせていた、あることに対する回答に結び付きました。

そのモヤモヤとは、

 

「ポストリハビリテーション

 

今、世間でもチラチラと出てきてるみたいですが、
これは、何をやってるのかというと、(間違えてたらごめんなさい。)


公的保険による理学療法終了後の、理学療法士によるコンディショニングとか、運動プログラムみたいです。

 

僕、これに、なんか、違和感、というか物足りなさがあったんです。

 

その原因が分かったのです。

その原因とは、ポストリハビリテーションリハビリテーションのポスト)における、理学療法士の支援の目的です。

 

だって、それは、健康増進だけじゃないと思うんです。

 

「継続的な社会参加の支援」も大事だろう!と思うんです。

 

もちろん、「継続的な社会参加の支援」においても、
運動機能の維持のためのコンディショニングや運動プログラムは必要でしょう。

しかし、その目的においては、それだけでなく、
いや、それ以上に、
社会参加の継続のために、対象者の運動機能(の経過)を踏まえた助言、動作方法の指導、補助具・福祉用具の紹介が、あって然るべきだと思うのです。

 (というか、こういう活動をしておられる方もいらっしゃると思います。)

 

なぜ、ここにこだわるのか。
こだわらねばならないのか。

 

それは、僕が、公的保険の適応のあるべき姿について考えたいからです。

 

たぶん、公的保険による理学療法終了後にも、さらなる健康増進を望む、という場合は、公的保険の適応は難しいでしょう。

 

でも、継続的な社会参加のための支援はどうでしょうか?

 

社会参加の継続のために、対象者の運動機能(の経過)を踏まえた助言、動作方法の指導、補助具・福祉用具の紹介を、1,2か月に1回理学療法士が行う、というのは、公助の対象であってもいい気がします。

 

いやいや、そんなのどうやって分けるんだ?
と言われるかもしれませんが、そこが大事なんです。

 

なぜならば、それは、実施者の誠実と品格にすべてかかっているからです。

 

そもそも、やったら、やっただけ、お金がもらえるから、なるべくたくさんやる。
とか。そのために。
たくさんやった方が、いい結果、みたいな研究。
とかは、「金のかかる職業」というレッテルになるし、
「職業が持ってる社会保障費の枠」の使い方を「広げられなくなる」ため、

自分で自分の首を絞めることになる、ということに、そろそろ気が付いてほしいと思っています。

 

つまり、エビデンスは、効果を得る必要最低限の量(頻度)を示すべきです。

そして、実施者は、理学療法の目的を、対象者ごとに、誠実に仕分ける品格を備えなければいけません。

 

すると、例えば、将来はこんなことが可能になるかもしれません。

(私案)
・公的保険での理学療法終了後は、1,2か月に1回の、継続的な社会参加を支援する目的での理学療法士介入なら保険適応?

・評価の結果、運動機能の維持(介護予防)のために短期的・集中的な理学療法士介入が必要な場合は、介護保険の予防対象に?

・傷病の発生、増悪が疑われる場合は、医師に診察依頼し、医師の指示の下の、治療、リハビリテーション理学療法は保険?

・医師の診断の補助や、社会参加に必要な運動機能の測定は保険適応?

・どれでもない(介護予防でないけど、頻回やる)なら自費


当然、こういった、自分たちが望む働き方や職域を守るためには、政治力と団結力が必要です。

でも、それ以上に、その働き方や職域に見合う、誠実と品格が大事なはずです。

 

そして、何よりも、自分たちの職域と役割、
つまり理学療法の目的である、治療、予防、リハビリテーション、検査・測定、ポストリハビリテーション(継続的な社会参加の支援)、健康増進、について、ちゃんと理解すべきと思っています。

 

そして、僕はどうも、世の中の「リハビリテーション」についての理解が不十分な気がしています。

 

そこで、リハビリテーション理念を考える会という、FBグループを作りました。

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グループでは、投稿会などを通じて、リハビリテーションとは何かについて、意見交換などを行っています。

ぜひ、ご参加ください!