とにかくほぐせばいいってもんじゃない!
有痛患者において、痛いところが硬いわけでなく、別の硬いところのために硬くないところに負担が偏り痛みが生じている、ということはよくあることです。
その場合、硬いところを動くようにしてあげれば、有痛部位への負担の集中が緩和され、痛みを生じにくくなる、という介入戦略があります。
先日、その戦略に基づいて介入していた患者の治療の中で、新たな気づきを得ました。
というのも、その患者は上述の有痛パターンと考え介入していたのですが、治療(症状緩和)に難渋していたのです。
治療数回目に気づいたのが、硬いところの中に、動きを出す(ほぐす)とかえって痛みが生じるところがあったのです。
つまり、その患者は、そもそもAとBが硬く、Cが痛くなり(おそらく傷めて)、Cを固めたところDが痛くなったという障害像だったのです。(ABの硬さのためにCを傷めやすい状況だったと考えています。)
Cをほぐすと痛みが再燃するため、CDは触らず、ABの可動性改善に注力したところ、日常生活においてほとんど痛みが生じなくなりました。
Aが胸郭、Bが股関節、Cが上位腰椎部、Dが下位腰椎部です。
もともと胸郭、股関節ともにしっかり治療していたつもりでしたが、最近、正しい胸郭の可動域とアライメント、股関節の制御の重要性に気づいたことで、介入の程度、方法、目標が変わりました。
その結果、難渋した患者の症状緩和を得られました。
これも、『セラピスト自身が正しい姿勢、動き方を理解し体現できることが、患者をそこに近づけること、あるいはその中で患者にとっての適正な姿勢、動き方のヒントを見つけることにつながる』ということのいい例です。
セラピスト自身が正しい姿勢、動き方を探究するためのヒントは8月6日の大阪、
関節可動域の治療については9月10日の広島で研修会を行います。
8月6日(大阪)
「運動制御システムから考える動作障害の運動療法の基礎と、効率的な姿勢・動き方の探究」
9月10日(広島)
「関節可動域制限と徒手技術の基礎」
170910第3回桝井貴史先生勉強会 of 知鑽治笑Project
私の治療観は拙著をご参照ください。
治療技術としての理学療法入門 -治療対象の基礎と臨床- / DLmarket
(各セクションにおいて症例検討を交えています。)